太陽光発電のしくみと歴史
なぜ太陽光で発電できるの?
太陽から地上に降り注ぐ「光エネルギー」を「太陽電池」を通して電気エネルギーに変換しています。
太陽電池の中には半導体が埋め込まれていて、太陽光が当たることにより、「光起電力効果(ひかりきでんりょくこうか)」や「光電効果(こうでんこうか)」という現象が起こります。
その現象によって、太陽電池の中の電子が動き、電気が発生するのです。
「光起電力効果(ひかりきでんりょくこうか)」
物質に光を照射することで起電力が発生する現象を「光起電力効果」と言います。
光起電力効果は1839年にアレクサンドル・エドモン・ベクレルが最初に実験して報告されています。
実験の内容は、薄い塩化銀で覆われた白金の電極を電解液に浸したものに、光を照射すると光電流が生じる現象として報告されました。
彼は電流が熱によるものではないことを示し、カラーフィルターを用いることで(大雑把ながら)スペクトル感度特性を示したと、これが光起電力効果に関する最初の報告となっています。
このときベクレルが創ったのは現在の太陽電池の原型ではないかと言われています。
光電効果とは?
光電効果とは、物質に光を照射した際に、電子が放出されたり電流が流れたりする現象です。
現在のデジタルカメラや太陽光発電の動作原理として広く利用されています。
光電効果は、外部光電効果と内部光電効果の二種類があり、単に光電効果という場合は外部光電効果といいます。
外部光電効果
物質に光を照射すると、光と電子の相互作用によって、光のもつエネルギーが電子に与えられ、電子が物質の表面から放出される。この現象を外部光電効果といいます。
太陽電池の発明
1954年、ベル研究所のダリル・シャピン(Daryl Chapin)、カルビン・フラー(Calvin Fuller)、ゲラルド・ピアーソン(Gerald Pearson)によって開発された、pn接合を用いた太陽電池が発表されましたた。変換効率はわずか6%でした。これが現在の太陽電池の原型となったのです。
世界で初めて太陽光発電が使われたのは?
世界で太陽電池を元にした初めての太陽光発電が使われたのは、1958年のアメリカ海軍の人工衛星「ヴァンガード1号」。
「ヴァンガード1号」直径は6.4インチ (16cm)、重さは3.5ポンド (1.6kg)。その信号は1964年に途絶えましたが、先に打ち上げられたスプートニク1, 2号およびエクスプローラー1号が落下して久しい現在でも軌道上にある、最古の人工天体です。
ヴァンガード1号は、同年1月に打ち上げられたエクスプローラー1号に次いで、アメリカが2番目の打ち上げに成功した人工衛星です。
主な開発機関は、アメリカ合衆国海軍研究所 (NRL)
打ち上げ機関はアメリカ航空宇宙局NASAが1958年3月17日ケープカナベラル空軍基地にて打ち上げました。
電力を外部から供給することができない宇宙空間では太陽電池が最も適した電力供給手段で、電源として用いられ太陽電池から給電されたのは5mWでした。
その観測によって、地球の形が完全な球体ではなく北がやや小さく南がやや大きい、いわゆる洋ナシ形であることを明らかにしました。
また、軌道上では太陽からの放射線が強烈で、衛星の設計寿命を大幅に縮めてしまうことも確認されました。
そのほかにも、宇宙空間の磁力線を計測するなど、1964年の通信途絶まで多くの成果をあげています。
太陽電池が開発されたことにより、人工衛星は一気に発展を遂げました。天気予報、通信、放送、カーナビなど私たちの身近なところで人工衛星が利用されています。
一般家庭にも普及してきている太陽光発電システム。しかし、現在に至るまでには科学研究者の長く大変な努力の歴史があったのでしょうね。
日本で初めて太陽電池が作られたのはいつでしょうか?
実は日本で初めて実用化されたのは1955年、今から60年以上も前のことです。
日本初の太陽電池を製作したのは、現在のNECである日本電気です。
ピアソンによる研究のわずか1年後、林一雄・長船廣衛らがpn接合シリコン太陽電池(単結晶シリコン太陽電池)を作成したのです。
その3年後には、同じく日本発となる太陽発電システムが東北電力信夫山無線中継所に設置されました。
太陽光発電にいち早く目をつけた日本電気やシャープは実用化に向けて動き出していましたが、その当時には本格的な利用には至りませんでした。
日本は1970年代のオイルショックから開発と普及に力を入れ、生産量や導入量で長く世界一であり。2000年ごろまで太陽光発電量は欧州全体より日本が多かったのです。
そして2004年頃には世界の約半分の太陽電池を生産していましたが2010年の生産世界シェアは9%まで落ち込んでしまいました。
その理由は、シリコンの原料の価格の高騰と中国・台湾系の太陽電池メ-カ-が積極的に設備投資を行っていったのだが日系の太陽電池メ-カ-は出遅れてしまったため世界の大半を中国・台湾系太陽電池メ-カ-が占める状況となってしまったのです。
「FIT法」で太陽光発電が急速に増加
FITとは?
再生可能エネルギーを、電力会社があらかじめ決められた価格で買い取る
「固定価格買取制度」(FIT)
「FIT」の前身である太陽光発電の余剰電力買取制度というものが2009年11月から始まりました。
正式には、固定価格買取制度と呼ばれ、電力会社が、太陽光発電所などの再生可能エネルギー発電設備に対して、発電した電気を10年固定した金額で買取りを行うことを国が約束するというものです。
太陽光発電に限らず、さまざまな再エネの普及拡大を支援する制度が打ち出されます。
FIT制度は太陽光発電だけではなく、風力、水力、地熱、バイオマスを対象としています。
「固定価格買取(FIT)制度」導入により、「売電事業」が急速に拡大しました。たとえば、太陽光発電はFIT制度が始まるまで住宅用システムが中心でした、FIT制度開始後はメガソーラーなど大規模発電の設置が相次ぎ、発電事業の新しい市場が開けていきました。
制度開始で、たくさんの事業者が再エネ発電に乗り出しました、ソーラーパネルがずらりと並ぶ風景を目にすることも増えました。再エネの導入はどんどん進み、2016年には、2012年と比較して約2.5倍という導入量に達しています。
太陽光発電で電気を自宅で作って電力会社に買い取ってもらう。
やってみたいなと思われた方も多かったと思いますが、いかんせん太陽光発電システム自体が高額だったので悩まれて導入しなかったのでは?
今現在の太陽光発電の価格はどうなってるのか調べました。
現在の太陽光発電の導入費用は安くなっているのか?
発売当初、高価で手が出せなかった太陽光発電も、コストが下がっていったことでじわじわと家庭に普及し始めていきました。
太陽光パネルをはじめ、太陽光発電システムの価格は年々下落しています。これは、技術の進歩により開発コストが下がってきているためです。
国による再生可能エネルギー普及の動きも価格の下落を後押ししています。
太陽光発電システムの設置費用は年々低くなっています。これは、設置工事の技術向上により低コスト化が可能になったためです。
6kWの太陽光発電システムを例に挙げると、2011年の時点では設置に約300万円の高額な費用がかかりましたが、2019年には半分程度(約144万円)に下がってきています。
太陽光発電の固定価格買取(FIT)制度がありますので、太陽光発電システムを導入して電気代の節約をしてみてはいかがでしょうか。
価格は8年間で半額程度になりましたが、まだまだ高いなと私は思ってます。
少しでも安く購入できる方法はないかと調べました。
太陽光発電の設置で受給可能な補助金
太陽光発電単体への補助金の国からの補助金制度は2014年3月で終了していますが、都道府県自治体によっては現在も太陽光発電システム設置に対する補助を行っています。
その多くは、10kW未満の家庭用太陽光発電システムが対象です。一部の自治体は10kW以上の産業用に対する補助も行っています。
都道府県や自治体からの補助金注意点
これから太陽光発電を導入する方は、1つ気を付ける事があります。それは、自治体によって独自の基準や条件、補助金額や補助金制度の有無があるので地元の自治体に確認する必要があります。
太陽光発電の補助金制度
一般家庭向け、産業向けの補助金制度が都道府県や自治体から提供されています。基本的な太陽光発電システムだけではなく、蓄電池の購入費用も補助の対象になる場合があります。
蓄電池のメリット
蓄電池も導入するメリットは、夜間の発電0の状態でも貯めておいた電気を使うことで、買電量を減らすことできる点です。
電気を使用する時間帯に合わせて蓄電した電気を使うことで、電気代を限りなく抑えることも可能になりました。
最近では自家消費型のシステムが注目を集めており、売電価格の下落と共に優位性が出てきています。ですから、自家消費と相性の良い蓄電池の必要性も出てくるので、補助金制度はしっかり調べて利用して行きましょう。
2020年度は国から蓄電池の補助金があります
補助金の公募期間は2020年04月07日(火)~2020年6月30日(火)となっています。
近年では太陽光発電の導入時に蓄電池をセットで設置する方が増えていますので、太陽光発電検討中の方も活用できる可能性の高い補助金です。
詳しくは平成31年度「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」
2020年度の補助金制度は?
戸建住宅におけるネット・ゼロ・エネルギー・ハウスZEH(ゼッチ)化支援事業というのがありました。
(経済産業省・国土交通省連携事業)
戸建住宅における省エネ・省CO2化の新築住宅に対して補助金を出して支援するというものです。
事業内容は?
① 戸建住宅(注文・建売)において、ZEH※の交付要件を満たす住宅を新築・改
修する者に補助を行う。( ZEH(60万円/戸)
② ①の要件を満たす住宅に、蓄電池を設置する者に定額の補助を行う。(2万円
/kWh(上限額:20万円/台))
ZEHの一環として太陽光発電システムを導入する場合
ZEH(net Zero Energy House)、は、エネルギー消費を限りなくゼロに近づけ低炭素社会に貢献する家屋、建物のことです。
断熱材や特別な建材が必要になることから、リフォーム・新築の家や建物が該当します。太陽光発電システムはZEH化において重要な要素のひとつです。
政府は、住宅やエネルギーに関する基本計画の1つに、ZEHの普及を掲げています。計画の一部では、2020年までにZEHを標準的な住宅として実現させ、2030年までにZEH化した住宅を全住宅の割合の中で平均値まで押し上げたいと考えているようです。
ZEH化に利用できる補助金制度を政府が推進している取り組みで提供しています。
ZEH支援事業 | |
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補助額 | 定額60万円/戸 |
追加補助額 | <蓄電システム> 2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は 20万円のいずれか低い額 |
補助対象者(申請者) | ・戸建ZEHを新築する方 ・新築戸建て建売ZEHを購入する方 ・自己所有の戸建住宅をZEHに改修する方 |
主な要件 | ■ZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たしていること(注1) (20%以上の一次エネルギー消費量削減) |
備考 | 注1:建設する地域や条件によってはNearly ZEH、ZEH Orientedも対象とできる。(補助額は同額) |
事業詳細 | 【環境省戸建ZEH】令和2(2020)年度 戸建住宅におけるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化支援事業 ZEH支援事業-SII |
ZEH住宅の建設、購入に対する補助金額は60万円/戸ですが、蓄電池を設置した場合には2万円/kWhがさらに加算されます。
ZEHで補助金をもらうことができる人は
- 住宅ZEHを新築する人
- 新築建売住宅ZEHを購入する人
- 自己所有の既存住宅をZEHに改修する人
上記のいずれかのに該当していることに加え、
・所有者自ら居住する戸建て専用住宅であること
・登録されたZEHビルダーまたはプランナーが設計、建築、改修または販売を行うZEHであること
ZEH(ゼッチ)補助金をもらう際の注意点
補助金申請の日程をチェック
補助金の申請は先着順になっているので、期日を忘れて申し込みができなかったということがないように、日程を把握しておきましょう。
ZEHの補助金を申請するためには、まず、公募期間中に応募をしなければなりません。
公募期間前に申請書類が到着した場合や、公募期間に書類の到着が間に合わなかった場合は受理されないので、期間や到着時期についてはあらかじめしっかりと確認しておきましょう。
ZEHビルダー/プランナーが登録されているハウスメーカーで申請する
ZEH補助金を申請するためには、ZEHビルダー/プランナーのハウスメーカーで住宅の設計や建築などをする必要があります。
ZEH住宅自体の設計や建設などは、全国のハウスメーカーで対応していますが、補助金を申請する場合は、どこのハウスメーカーでもいいというわけではないので注意しましょう。
ゼロエネルギー住宅(ZEH・ゼッチ)のメリット
光熱費が安くなる
ZEH仕様の住宅は断熱性能を高めているので、夏の暑さや冬の寒さを我慢するのではなく、快適な生活をしながら電力消費量が抑えられます。
エネルギー消費量をゼロにするのが目的のZEH。
光熱費もゼロにできる可能性があります。例えば、大き目サイズの太陽光発電を設置すると、光熱費がかからず、かえって売電収入で長い目で見れば家計にプラスになる可能性が高いです。
資産価値が残りやすい。
近頃は長期優良住宅の普及などもあり、資産価値は少しずつ残りやすい環境が作られています。
住宅の気密性が高くなると、断熱材へのダメージも減り、結果住宅自体が長持ちして資産価値が落ちにくくなる可能性もあります。
高齢者でも健康で快適な生活がおくれる。
冬の寒い時期など、浴槽に入るまでに脱衣所や浴室で大きな温度差があることで、ヒートショックになり血圧が大きく上昇してしまう症状。
特に65歳以上の方が、これにより死亡するケースが多いです。ZEHは断熱性や気密性が高いので、住宅内部の温度差が非常に少なく、健康で快適な生活がおくれます。
災害時にも電気を使える
ZEHは災害時にも強い住宅です。ZEHは、基本的に太陽光発電システムやエネファームなどの「創エネ設備」を備えているため、電力会社から電気の供給が止まっても自家発電である程度は電気を使えます。
ZEH+Rなど、蓄電池を備えている住宅はさらに災害に強くほぼ日常と変わらない生活ができますが、ただのZEHでも一般住宅と比べれば、昼間の太陽光があたる時間帯は電気を使うことが可能ですし、その差は歴然。
補助金が出る可能性があり購入費用が安くなる。
政府はZEHの政策目標とその達成にむけたZEHロードマップに基づき、ZEHを新築する、ZEHの新築建売住宅を購入する、または既築住宅をZEHへ改修する者に補助金を交付しています。
また、補助事業について2017年度以降は「(補助事業を)延長したとしても限定的」としています。いつか建てるつもりなら、補助金のあるうちに建てましょう。
ZEHのデメリット
ZEH住宅はメリットばかりではなく、いくつかデメリットも存在します。
1・初期費用が大きくなる
ZEH住宅は太陽光発電設備を設置しており、各種設備もエネルギー効率に優れたグレードの高いものを導入します。そのため、長期的に見れば費用対効果に優れている一方で、初期費用は通常の住宅より200〜300万円ほど費用が高額になってしまうのです。
2・住宅のデザインに制約がかかる
ZEH住宅は優れた断熱性を備えている必要があり、気密性を意識した住宅作りが求められます。大きな窓を設置したり、開放的な間取りにしたりといった設計ができない可能性もあり、住宅のデザイン面に制約が出てしまうケースがあるのです。
太陽光発電設備を取り付ける都合上、屋根部分の形状も自由度も下がってしまいます。
3・太陽光発電設備のメンテナンスに費用がかかる
、光熱費が大幅に削減されるものの、住宅用太陽光発電は4年に1回のメンテナンス費用(数万円程度)がかかるため、削減される光熱費はメンテナンス費用によって多少相殺されてしまいます。
ZEH住宅は一般的な住宅に比べて、設備点検・メンテナンスの手間・費用や少し増えると考えておくべきです。
まとめ
ZEHは政府が推し進めている政策なので、補助金制度も充実しており、比較的導入しやすくなっています。
初期費用が従来の住宅より高くなるため、導入を迷っている方もいると思いますが、2020年以降はさらに導入するための壁が低くなると予想されます。
長期的に考えると年間の光熱費が節約できるのは大きなメリットだと思いますのでZEHの補助金制度を利用して初期費用の負担を少しでも減らして快適なマイホーム生活を目指しましょう。